剣道の稽古の1つである「素振り」。
剣道を上手になるためには素振りは欠かせません。
素振りには様々な種類があり、内容により期待できる効果が異なります。
いつも何気なく素振りをしていて、
素振りにはどのような効果があるかな?
素振りにはどんな種類があるのかな?
と考え、この記事にたどり着いた人もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、剣道の素振りの種類と効果について説明します。
目次
剣道の素振りの効果
先ほど剣道の素振りには様々な種類があることをお話しましたが、まずは大きく見て「素振りにはどのような効果があるのか」ということを説明します。
素振りには、次の3つの効果が期待できます。
・正しい竹刀の振り方を覚える
・手の内を身につける
・「気剣体の一致」を身につける
上記の3つの効果について、1つずつ深堀していきます。
【 1 】正しい竹刀の振り方を覚える
剣道の練習はいきなり面をつけて始まるものではありません。
剣道を始めたばかりの人は、礼法や剣道の足を習った後、竹刀の持ち方や振り方を習得していくことになります。
竹刀の操作方法を学ばなくては、チャンバラと同じになってしまいます。
竹刀の持ち方や振り方を覚えていく稽古が素振りです。
素振りをすることで正しい竹刀の振り方、握り方、扱い方を身につけることができます。
竹刀を振る感覚が鈍ってきたときは、しっかりと素振りをして確認をしましょう。
【 2 】手の内を身につける
素振りをすることで、竹刀の握りを身につけられます。
竹刀を正しく握れるということは、打突の強さ、鋭さである冴えに繋がります。
つまり、面をつけた稽古の中で打突の冴えを身につけるだけではなく、素振りをすることで打突の冴えは強化されます。
・打ちが弱い
・打突に冴えがない
ということを言われた経験がある人は、素振りをして手の内を強化し、打突の冴えを身につけると良いでしょう。
大人になると素振りをする機会も減ってきますが、しっかりと素振りをして打突の冴えを磨きましょう。
【 3 】「気剣体の一致」を身につける
素振りは竹刀を振るだけではなく、足さばきも使いながら竹刀を振るのが素振りです。
つまり、素振りは足と手、体全体使うことにより有効打突で必須である「気剣体の一致」を身につける効果があります。
素振りを通して、自分の「気剣体」が一致しているか確認をしましょう。
「気剣体の一致」については「気剣体の一致を説明せよって言われても…|剣道に欠かせない3要素」で紹介していますので合わせて読んでみてください。
剣道の素振りの種類と効果
剣道の素振りには、たくさんの種類があります。
この記事では代表的な以下の6つを紹介します。
・上下素振り
・前進後退面
・三挙動の素振り
・前進後退左右面
・斜め素振り
・跳躍素振り(早素振り)
【 1 】上下素振りと効果
上下素振りは、竹刀を頭上まで大きく振りかぶり剣先が膝頭のやや下までくるように大きく振り下ろします。
上下素振りのポイントは
・竹刀が身体の正中線を通るようにする
・両肘が伸びるように大きく振りかぶり大きく振り下ろす
・左足を速く引きつける
ことです。
以上3つのポイントを意識して上下素振りをすることで、
・上半身と下半身の協調性をつくる
・肩の柔軟性が上がり素早い振りができる
という効果を期待できます。
【 2 】前進後退面と効果
前進後退面は、頭上まで大きく振りかぶり、身体の正中線を通りながら面を打突することを想定した空間打突をするものです。
前進後退なので、振りかぶって前に出て面の空間を打突したら、また大きく振りかぶって後ろに下がって面の空間を打突します。
前進面と後退面を交互に行うのが特徴です。
前進後退面のポイントは、
・空間打突の高さは、自分の面の位置と同じ位置に相手の面があることを想定
・振りかぶってから打つまでは1拍子
・竹刀を振るときには、しっかりと腕を伸ばす
・打突する瞬間に力を入れて、手首のスナップを効かせて鋭く振る
ことです。
上記4つのポイントを押さえて素振りをすることで、
・正しい刃筋で竹刀を振れるようになる
・素早い振りができるようになる
・冴えのある打突ができるようになる
ことが期待できます。
【 3 】三挙動の素振りと効果
三挙動の素振りは、前進後退面を分解した稽古法です。
1で振りかぶり、2で前に出ながら面の空間へ振り下ろし、3で中段に戻ります。
三挙動の素振りのポイントは、
・1つ1つの動作をしっかりと確認しながら素振りをする
・一瞬で竹刀を振り下ろす
・左足を素早く引きつける
ことです。
三挙動の素振りをすることで、
・1つ1つの動作を確認しながら身につけることができる
・自分の癖を治す
という効果があります。
【 4 】前進後退左右面と効果
前進後退左右面は、全身後退面が左右面になったものです。
大きく振りかぶった後、前に出ながら右斜め45度の軌道で竹刀を振り下ろします。
同じ軌道を通って振りかぶり、今度は後ろに下がりながら左斜め45度の軌道で竹刀を振り下ろします。
前進後退左右面のポイントは、
・左手は正中線から外さない
・45度はこめかみの位置を打突する
・手首をしっかりと返す
ことです。
上記3つのポイントを押さえて前進後退左右面をすることで、
・返し技や応じ技のような手首を使った技が上達する
・相手の打突部を様々な角度から正確に打つ力がつく
という効果があります。
【 5 】斜め素振りと効果
斜め素振りは、真っ直ぐに前後左右で行うものと、開き足を使用した素振りがあります。
竹刀の軌道は、左右面を上下素振りで行うイメージです。
正面を向いて前進後退で斜め素振りを行う場合は、左右面の要領で膝下のあたりまで竹刀を振り下ろします。
開き足で行う場合は、まずは右斜め前方へ右足を出しながら身体は左側へ向けながら右斜め45度の軌道で竹刀を振ります。
次は左足を左前方へ出しながら、身体は右側へ向けながら左斜め45度の軌道で竹刀を振ります。
斜め素振りのポイントは、
・素早く足を開き体をさばく
・足さばきと竹刀を振る動作を合わせる
ことです。
上記2つのポイントを意識して斜め素振りをすることで、
・素早く体さばきをして打突する力がつく
・様々な体勢から技を出せるようになる
という効果が期待できます。
【 6 】跳躍素振り(早素振り)と効果
跳躍素振りは、早素振りと呼ばれることもあります。
前後に跳躍をしながら素振りを行う稽古法です。
振りかぶるときは、後方へ跳躍します。
空間打突をするときは前方へ跳躍します。
跳躍素振りのポイントは、
・両足でジャンプせず素早く足を動かす
・上ではなく前に跳躍する
・早さよりも正確性を重視する
ことです。
小学生等の小さい子の跳躍素振りを見ていると、とにかく速いけれども足も手もバラバラという光景を目にします。
まずは跳躍素振りの動作を確実に行い、繰り返し練習することで速さを身につけることが大切です。
上記3つのポイントを押さえて跳躍素振りをすることで、
・手と足が統一された動きができるようになる
・腰から打突する力が身につく
・体力がつく
という効果が期待できます。
まとめ
今回は「剣道の素振りの種類と効果」について紹介しました。
紹介した素振りの種類をもう1度おさらいしましょう。
・上下素振り
・前進後退面
・三挙動の素振り
・前進後退左右面
・斜め素振り
・跳躍素振り(早素振り)
以上6つです。
素振りとしては他にも種類はあるのですが、代表的な6つを取り上げました。
素振りは剣道の基本であり、「気剣体の一致」を目指すためにも欠かせません。
より良い打突を目指して素振りを頑張りましょう。
素振りの効果を高めるために、素振り用の竹刀や木刀を使用することも1つの方法です。