剣道の熟練度を示す1つの指標となる段位。段位は初段から始まり、二段、三段と昇段試験に合格することで昇段していきます。
初段を取得した後には二段を目指すことになりますが、受審予定の人の中には、
- 剣道二段の合格率が知りたい
- 剣道二段の日程が知りたい
- 剣道二段の審査(試験)内容が知りたい
- 剣道二段に合格するためのポイントが知りたい
- 剣道二段の登録料が知りたい
という悩みを持っている人もいるのではないでしょうか。
二段を取得していて、アルバイトや就職の面接で使用する履歴書を書こうと思っていて、
- 剣道二段は履歴書に書けるのかどうか知りたい
- 剣道二段の正式名称が知りたい
という人もいるかもしれませんね。
そこで今回は「剣道二段とは?合格率や実技・形・筆記試験に受かるコツを解説」と題して、剣道二段について紹介します。
最後まで読むことで剣道二段のすべてを知ることができる内容になっています。
ぜひ最後まで読んでくださいね。
目次
剣道二段の正式名称
剣道二段の正式名称は、「全日本剣道連盟 剣道二段」です。
剣道の審査会は、六段以上は全日本剣道連盟が主催して執り行われますが、五段以下は都道府県や区市町村が管轄して開催されます。
しかし最終的に段位を授与するのは全日本剣道連盟ですので、得る段位は「全日本剣道連盟 剣道二段」ということになります。
剣道二段の受験資格
剣道二段の受験資格は、初段を取得してから1年以上経過していることです。
全日本剣道連盟が定める「称号・段級位審査規則」によって、「初段受有後1年以上修業した者」決められています。
また、主催する団体に加盟していないと、受審することはできませんので注意しましょう。
たとえば大阪のように、大阪府剣道連盟が二段審査を開催するとすれば、大阪府剣道連盟の登録会員であることが必要です。
よって剣道二段の受験資格を厳密に表現すれば、審査会を主催する連盟の登録会員であり、初段を取得してから1年以上経過していることとなります。
上記を満たしていないと受験できませんので、必ず確認するようにしましょう。
剣道二段の日程
剣道二段の日程は、審査を受ける住まいによって異なっています。日程が地域によって異なる理由は、主催者が異なるからです。
剣道の審査には、「全剣連段位審査」と「地方段位審査」の審査会があります。全剣連段位審査は六段以上の審査が行われ、主催は全日本剣道連盟が行います。
つまり、六段以上は全国の剣士が同じ場所に集まり審査を受けることになります。
一方で地方段位審査は五段以下の審査が行われ、主催は都道府県や区市町村です。
たとえば東京都では、四段・五段の審査は東京都剣道連盟の主催により開催されます。東京都に住んでいて四段・五段を受ける人は、同じ日に同じ場所で受審することになります。
しかし三段以下は、23区の人はそれぞれの区に設置された剣道連盟、23区以外の人は西東京剣道連盟が主催する審査を受けることになります。
もう1つの例を紹介すれば、大阪では五段以下はすべて大阪府剣道連盟が主催して行います。
このように、剣道の審査は受審する段位によって開催場所や日程が異なるということが起こります。
よって、剣道二段の日程は受審する地域によって異なるということになります。
日程を知りたい人は、各地域の剣道連盟のホームページを閲覧するか、道場や学校の先生に聞いてみると良いでしょう。
剣道二段の合格率
剣道二段の合格率はおおよそ80%です。
もしかすると、剣道二段の合格率は90%以上あると聞いたことがある人もいるのではないでしょうか。
確かに「剣道二段の合格率は90%以上」ということも間違いではありません。
その理由は、剣道二段の合格率は開催される日程と同様に受審する地域によって様々なため、地域によっては合格率が90%以上あるからです。
たとえば、令和2年に西東京剣道連盟が開催した二段の審査会では、98.2%の合格率がありました。
西東京剣道連盟主催の審査会の場合、合格率90%以上が当てはまります。
一方大阪府剣道連盟が同じく令和2年に開催した二段審査では、合格率は80.9%でした。
このように、剣道二段は各地域で開催されているため、合格率に大きな差があります。
それでも、おおよそ80%程度の合格率はあります。
よって、剣道二段の合格率は80%程度と思うようにすると良いでしょう。
剣道二段の登録料
剣道二段の登録料は、受審する地域によって異なります。
たとえば西東京剣道連盟は6,900円、大阪府剣道連盟は8,250円といったような違いがあります。
ただし、ほとんどの都道府県でおおよそ8,000円前後です。高くて10,000円ほどになっています。
剣道二段を受審する人は、合格した場合の登録料として8,000円~10,000円ほど費用が必要になると考えておくと良いでしょう。
剣道二段の審査(試験)内容
剣道二段は、日程、合格率、登録料など、開催される地域によって異なることは、これまで説明してきたとおりです。
しかし剣道二段の審査内容は、どの都道府県または区市町村で受けても同じです。
その審査内容とは以下の3つです。
- 実技試験
- 日本剣道形試験
- 筆記(学科)試験
剣道二段は、剣道の「基本」が身についていれば合格することができます。
剣道二段の審査は、全日本剣道連盟が定める「剣道・居合道・杖道称号・段位審査規則・同細則」という決まりによって執り行われます。
その規則の中には、「段位の付与基準」が書かれています。段位の付与基準によれば、「二段は、剣道の基本を修得し、技倆良好なる者」とされています。
つまり、基本ができていれば合格できるということです。
では、剣道二段で必要とされる「基本」とは何か。
合格するためのポイントとして紹介していきます。
二段の実技試験に合格するためのポイント
剣道二段の実技試験に合格するためには、次に紹介する4つのポイントを押さえておきましょう。
- 礼法を大切にする
- 充実した気勢を出す
- 正しい剣道の足をする
- 残心を示して1本を打ち切る
以上4つのポイントを満たすことができれば、基本が身についていると判断され合格することができるでしょう。
今紹介したポイントを1つずつ詳しく説明していきます。
【 1 】礼法を大切にする
剣道二段の実技に合格するために大切なポイントの1つ目は「礼法を大切にする」ということです。
剣道は、「礼に始まり、礼に終わる」という言葉もあるくらい、相手に対する礼儀を大切にしているからです。
実技試験で見られる礼法は、相手と合わせて礼や蹲踞をすることです。
実技試験をするときには、2人の相手と立ち合いをします。
まずお互いに9歩の間合いに立ち、相手と合わせて礼をしてから3歩前に出て蹲踞をします。
このとき、相手と合わせて礼をせず、1人で返し線までいき蹲踞をする人がたまにいます。時々試合でも見かけますよね。
このような行為は、礼法ができていないと判断されて不合格になる可能性もあります。
必ず相手と合わせて礼と蹲踞をするようにしましょう。
礼法については「剣道の礼法の重要性とは?立礼と座礼についても説明」で紹介してますので合わせて読んでみてください。
【 2 】充実した気勢を出す
剣道二段の実技に合格するために大切なポイントの2つ目は「充実した気勢を出す」ということです。
充実した気勢とは、簡単に言えば大きな声を出して相手を圧倒する「気持ち」と自分から積極的に打っていく「姿勢」です。
大きな声を出して積極的に打っていくことは、剣道の基本です。
二段の実技試験では基本が身についているかを見られているので、充実した気勢が出ていない人は不合格になります。
具体的には、小さな声であったり、相手に先に打たれたりしていては合格できないということです。
大きな声を出して自分から積極的に打っていくようにしましょう。
声を出すことの大切さは「剣道の掛け声には意味があった!種類や効果を知れば説明できる!」で紹介していますので合わせて読んでみてください。
【 3 】正しい剣道の足をする
剣道二段の実技に合格するために大切なポイントの3つ目は「正しい剣道の足をする」ということです。
剣道には、右足が前、左足が後ろ、右足のかかとと左足のつま先の距離は握りこぶし1つ分あけ、左足のかかとを少しあげるようにする、剣道の足があります。
この剣道の足の状態から足さばきを活用して攻防をするのが剣道です。剣道の足は基本中の基本なので、審査でも当然見られます。
二段の実技試験に合格するためには、剣道の基本である剣道の足をしっかりと使うようにしましょう。
剣道の足さばきについては「剣道の足さばきの種類とは?練習と説明方法も解説【脱・初心者】」で紹介していますので合わせて読んでみてください。
【 4 】残心を示して1本を打ち切る
剣道二段の実技に合格するために大切なポイントの4つ目は「残心を示して1本を打ち切る」ということです。
剣道では、相手を打った後に残心を示すことで1本になります。
1本と認められる有効打突のルールでも、残心のない打突は1本にはならないと決められています。
つまり、残心を示すことは剣道の基本です。
二段の実技に合格するためにも、しっかりと残心を示して1本打ち切るようにしましょう。
二段の日本剣道形に合格するためのポイント
剣道二段の日本剣道形試験に合格するためには、次に紹介する4つのポイントを押さえておきましょう。
- 大きな声で発生する
- 日本剣道形の流れを覚える
- ゆっくりと大きく正しくやる
- 間違えたときは挙手をしてやり直す
以上4つのポイントを満たすことができれば、基本が身についていると判断され合格することができるでしょう。
今紹介したポイントを1つずつ詳しく説明していきます。
【 1 】大きな声で発生する
剣道二段の日本剣道形に合格するために大切なポイントの1つ目は「大きな声で発生する」ということです。
「声を出す」ということは、剣道の基本中の基本です。実技試験のところでも説明した、充実した気勢です。
声が出ない病気であれば声を出せないこともあるかもしれませんが、それ以外の場合は声を出すことができるでしょう。
日本剣道形には、打太刀は「ヤー」、仕太刀は「トー」というかけ声があります。
日本剣道形の試験のときは面をかぶっていないので、恥ずかしい……と思う人もたくさんいることでしょう。
しかし剣道では、声を出さない方が恥ずかしいことです。
しっかりと大きな声で堂々と発生するようにしましょう。
【 2 】日本剣道形の流れを覚える
剣道二段の日本剣道形に合格するために大切なポイントの2つ目は「日本剣道形の流れを覚える」ということです。
日本剣道形の試験ですから、形の流れを覚えていないのは問題外ですよね。
二段の日本剣道形試験では、どの地域でも太刀の形1本目~5本目をやると思いますが、細かいところができていなくても、一連の流れができていれば合格することができます。
日本剣道形は剣道の理合を覚えることができるようになっています。
理合を理解できるのが1番良いですが、二段の日本剣道形試験では最後まで間違えずにできるようになっておきましょう。
【 3 】ゆっくりと大きく正しくやる
剣道二段の日本剣道形に合格するために大切なポイントの3つ目は「ゆっくりと大きく正しくやる」ということです。
日本剣道形は、ゆっくりとした動きで動作を大きくすると堂々とかっこよく見えるからです。
ゆっくり大きくやる方が間違えにくくもなりますよね。
とはいえ、日本剣道形には小さくやるところ、少し早足になるところなどがありますが、それ以外はゆっくり大きくやるようにしましょう。
たとえば、太刀の形4本目の打太刀が八相の構えをするときや、5本目の仕太刀が上段に構えて残心を示すときなどは、大きな動作をすることが大切です。
剣道二段の日本剣道形審査では、日本剣道形のメリハリができていなくても流れを覚えていれば充分です。
1本目から5本目まで、ゆっくりと大きく正しくできるように稽古しておきましょう。
【 4 】間違えたときは挙手をしてやり直す
剣道二段の日本剣道形に合格するために大切なポイントの4つ目は「間違えたときは挙手をしてやり直す」ということです。
日本剣道形を間違えてしまったとき、やり直さずに続けてしまうと「日本剣道形を覚えていない」と思われてしまい不合格になってしまいます。
間違えてしまったときには主任審査員の方を向いて手を挙げ、やり直すことを伝えましょう。
やり直すときには、間違えてしまった本数の最初からやり直すようにします。
たとえば、4本目の途中で間違えてしまったときは、手を挙げて申告し、お互いに9歩の間合いに戻ります。そして4本目の最初からもう1度やり直します。
剣道二段の日本剣道形試験では、1回間違えたくらいでは不合格になりません。
間違えてしまっても焦らずに、しっかりと手を挙げて申告し、やり直すようにしましょう。
二段の筆記(学科)試験に合格するポイント
剣道二段の筆記(学科)試験に合格するためには、次に紹介する3つのポイントを押さえておきましょう。
- 自分の考えや経験を書く
- 空白を残さないように書く
- 剣道の知識を身につけておく
以上4つのポイントを満たすことができれば、基本が身についていると判断され合格することができるでしょう。
今紹介したポイントを1つずつ詳しく説明していきます。
【 1 】自分の考えや経験を書く
剣道二段の筆記(学科)試験に合格するために大切なポイントの1つ目は「自分の考えや経験を書く」ということです。
筆記試験は、どのように書いたら良いか悩むことと思います。
本やインターネットを使用して調べて書くと思いますが、他の受審者も同じように書いてきます。
あなたが書く筆記試験の答案を他の受審者より良いものにするためには、自分の考えや経験を書くことがとても重要です。
自分の意見や経験を記入するだけで、たった1つの答案ができあがるのです。
たとえば、「5つの構えを書きなさい」という問題が出たとしましょう。
このとき、次のような単純な答え方はやめましょう。
剣道の構えには、中段の構え・上段の構え・下段の構え・八相の構え・脇構えがあります。中段の構えは、攻撃にも防御にも転じやすい構えといわれていて、多くの剣士が使用しています。上段の構えは、右足を前に出して構える諸手右上段と、左足を前に出して構える諸手左上段があります。……(以下、省略)
これではただ単に構えの説明をしているだけで、他の受審者も同じ内容になってしまいます。
ここに少しだけあなたの意見や経験を書き入れるだけで良いのです。
たとえば、
剣道の構えには、中段の構え・上段の構え・下段の構え・八相の構え・脇構えがあります。中段の構えは、攻撃にも防御にも転じやすい構えといわれていて、多くの剣士が使用しています。私も中段の構えですが、いつも防御ばかりだと先生に指導されています。しっかりと自分から攻撃を仕掛けられるように、これからも稽古を頑張ろうと思います。上段の構えは、右足を前に出して構える諸手右上段と、左足を前に出して構える諸手左上段があります。……(以下、省略)
このように、自分の意見と経験を書き入れるだけで劇的に内容が変化します。そして審査員の印象に残るでの、間違いなく合格することができます。
自分の意見や経験を書くことは、用紙の余白を満たすためにも役立ちます。
あなただけの答案を作り剣道二段に合格しましょう。
【 2 】空白を残さないように書く
剣道二段の筆記(学科)試験に合格するために大切なポイントの2つ目は「空白を残さないように書く」ということです。
解答用紙に空白をつくることは、充分に答えたことにならないからです。
たとえば先ほどの「5つの構え」を例にしてみましょう。
ポイントは、「結論」→「理由」→「具体例」の順番に紹介することです。
文字数も増えますし、何より「分かりやすい文章」になります
剣道の5つの構えとは、中段の構え・上段の構え・下段の構え・八相の構え・脇構えがあります。(ここまでが結論)中段の構えは、多くの剣士が使用する一般的な構えです。(ここも結論)理由は、中段の構えが攻撃にも防御にも転じやすいとても有利な構えだからです。(ここまでが理由)たとえば、相手が居着いたときにはそのまま手を伸ばして面を打つことができますし、相手が面を打ってきたときにはすぐに小手を打つこともできます。(ここまでが具体例)このように、中段の構えは自分から打つときにも、相手の打突を返すときにも有効な構えです。(まとめ)
このように書けば、文字数も多くなるので空欄を残さずに書けます。
今回は、中段の構えだけを説明した内容にしていますが、「5つの構え」のように5つ説明する場合は、「結論」→「理由」→「具体例」を5回繰り返してそれぞれの構えについて説明していきます。
ぜひ実践してみてくださいね。
【 3 】剣道の知識を身につけておく
剣道二段の筆記(学科)試験に合格するために大切なポイントの3つ目は「剣道の知識を身につけておく」ということです。
剣道の知識を身につけておくことは筆記試験に解答するために必要ですし、審査員から解答した内容について質問されることがあるので、答えることができるようにしておく必要があるからです。
筆記試験を書くために本やインターネットの内容を丸写ししただけでは、あなたの知識になっていません。
筆記試験の目的は、剣道の知識を増やすことです。
もし審査員から質問されて答えることができなければ、知識として身に付いたことにはなりません。
審査員の質問にも答えられるように、しっかりと問題に対する知識を身につけておきましょう。
先ほど紹介した「結論」→「理由」→「具体例」の順番で書くようにすると、理解も深まり自然と知識が身に付くようになるのでオススメです。
日本剣道形の二段に関わる1本目~5本目までの流れや注意点、筆記(学科)に出題されたときの書き方のポイントについて別記事で紹介していますので合わせて読んでみてください。
>> 【日本剣道形】1本目を筆記で説明しよう!ポイントや注意点を解説
>> 【日本剣道形】2本目を筆記で説明しよう!ポイントや注意点を解説
>> 【日本剣道形】3本目を筆記で説明しよう!ポイントや注意点を解説
>> 【日本剣道形】4本目を筆記で説明しよう!ポイントや注意点を解説
>> 【日本剣道形】5本目を筆記で説明しよう!ポイントや注意点を解説
剣道二段を履歴書に書くときの注意事項
アルバイトや就職活動で履歴書を作成するときに、剣道二段を書きたいと思う人もいることでしょう。
剣道二段を履歴書に記入するときには、
- 趣味・特技の欄に記入する
- 正式名称で記入する
ということに注意してください。
資格の欄には、仕事に直結するものを記入するので、剣道の段位を書くことは適切ではありません。
詳しくは「剣道の段位を履歴書に書くときの書き方|得たものをアピールしよう!」でも紹介していますので、参考にしてください。
まとめ
今回は「剣道二段とは?合格率や実技・形・筆記試験に受かるコツを解説」と題して、剣道二段について紹介してきました。
剣道二段の審査は、地域によって日程・合格率・登録料などに違いがあります。
お住まいの地域の剣道連盟のホームページを参照したり道場の先生に聞いたりして、確実な情報を得るようにしてください。
剣道二段は、剣道の基本が身についているかどうかが判断されます。
しっかりと基本が身につくように日々の稽古を頑張りましょう。
剣道二段は、「全日本剣道連盟 剣道二段」が正式名称です。
履歴書に書くときは、趣味・特技の欄に「全日本剣道連盟 剣道二段」と記入するようにしましょう。
警察官など剣道の経験がプラスになる職種に就職を考えている人は、「資格欄」に段位を記入しましょう。