剣道の稽古法の1つである「打ち込み稽古」。打ち込み稽古は昇段審査の筆記試験にも出題されるほど、剣道を上達する上で大切な稽古方法です。
この記事を読みにきてくれている人の中には、実際に昇段審査の筆記試験に出題され、
- 打ち込み稽古の目的が知りたい
- 打ち込み稽古で元立ちが気をつけることを知りたい
- 打ち込み稽古と掛かり稽古の違いが知りたい
という想いがある人もいるのではないでしょうか。
そこで今回は「剣道打ち込み稽古の目的と元立ちが気をつけること|掛かり稽古の違いも紹介」と題して、剣道の打ち込み稽古について紹介します。
最後まで読むことで、打ち込み稽古について説明できるようになります。
ぜひ最後まで読んでくださいね。
剣道の打ち込み稽古とは
打ち込み稽古とは、元立ちが打突の機会を示し、掛かり手が元立ちが示した機会を瞬時に打っていく稽古方法です。
元立ちが剣先を開き面を開けたら掛かり手は面を打ち、小手を開けたら小手を打つ稽古です。
掛かり手は、充実した気勢で元立ちが示した隙を瞬時に察知し、大きく打ちこむことが大切です。
試合における相手との攻防の中でも、相手の隙がうまれた瞬間に打突する力を養うことができます。
剣道の打ち込み稽古の目的
打ち込み稽古の目的には、次の3つがあります。
- 刃筋正しく打突できるようになる
- 正しい足さばきを身につける
- 正しい体さばきを身につける
打ち込み稽古は、元立ちが作った隙を大きく打突することが大切です。
連続した打突を刃筋正しく打てるようになることで、相手との攻防の中でできた隙を刃筋正しく瞬時に打突することができるようになります。
足さばきや体さばきも同様に、連続した打突の中で足さばきや体さばきを繰り返すことで、素早い足さばきや体さばきを身につける目的があります。
打ち込み稽古には、元立ちが作った隙を連続して打突することで、素早い足さばきや体さばきを使いながら刃筋正しい正確な打突を身につけるという目的があります。
剣道の打ち込み稽古でも元立ちが気をつけること
打ち込み稽古は掛かり手の練習ではありますが、元立ちが注意しなくてはならないことがいくつかあります。
打ち込み稽古で元立ちが気をつけることは、次の2つです。
- 適切な間合いで打突の機会を示す
- 打突部位は大きくあけず、掛かり手が打てる分だけあける
元立ちはただ打突部位を示せば良いだけでなく、適切な打たせ方をすることが掛かり手の成長に繋がります。
元立ちは、掛かり手の力量に合わせて適切な間合いを取りながら打突の機会を示します。
たとえば剣道経験が浅い人や小学生を相手にする場合は、一足一刀よりも近い間合いで打たせても良いでしょう。
小学生でも実力がある子や、剣道経験が長い人を打たせる場合には一足一刀で打たせたり、場合によってはさらに遠間から打たせることも良いでしょう。
このように、元立ちは足さばきを使って相手の力量に合わせた間合いをつくることが大切です。
そして掛かり手に打たせるときには、最初から打突部位をあけておくのではなく、掛かり手が間合いに入った瞬間にあけ、掛かり手が瞬時に打てるようになるように仕向けます。
打突部位をあけるときは大きくあけずに、掛かり手が打てる分だけをあけるようにしましょう。
このように、元立ちの打たせ方によって掛かり手の成長を左右します。
ここで紹介した内容に気をつけながら掛かり手に打たせるようにしましょう。
剣道の打ち込み稽古と掛かり稽古の違い
剣道の稽古には、今回紹介している打ち込み稽古の他に、掛かり稽古という稽古があります。
掛かり稽古も打ち込み稽古と同様に、掛かり手が元立ちに対して果敢に打っていくため、呼び名が違うだけで同じ稽古だと勘違いされることがよくあります。
打ち込み稽古と掛かり稽古はまったく別の稽古ですが、その違いは一体どこにあるのでしょうか。
掛かり稽古とは、体力が続く限り全力で元立ちに打っていく稽古です。
打ち込み稽古は元立ちが隙を示しますが、掛かり稽古では元立ちは隙を示しません。
打ち込み稽古が打突の正確性や足さばき、体さばきを身につけることが目的であるのに対し、掛かり稽古は気力と体力の向上を目的としています。
掛かり稽古では、掛かり手が正しい打突ができていないときには、元立ちは打たせないように掛かり手の打突をかわします。
掛かり手は、気力と体力を充分に使いながらも正しい打突ができることを目指します。
このように、打ち込み稽古と掛かり稽古は、似ているようでやり方も目的もまったく異なります。
それぞれの稽古がどのような目的をもっているかを理解することで、日々の稽古で得られる経験値が増加します。
必ず理解しておくようにしましょう。
まとめ
今回は「剣道打ち込み稽古の目的と元立ちが気をつけること|掛かり稽古の違いも紹介」と題して、剣道の打ち込み稽古について紹介してきました。
剣道の打ち込み稽古とは、元立ちが打突の機会を示し、掛かり手が元立ちが示した機会を瞬時に打っていく稽古方法です。
打ち込み稽古には、「刃筋正しく打突できるようになる」「正しい足さばきを身につける」「正しい体さばきを身につける」という3つの目的があります。
この目的を達成するためには、掛かり手だけではなく元立ちの役割が重要です。
元立ちは、「適切な間合いで打突の機会を示す」「打突部位は大きくあけず、掛かり手が打てる分だけあける」の2つを気をつけて打たせるようにしましょう。打ち込み稽古に似た練習方法に掛かり稽古があります。
掛かり稽古とは、体力が続く限り全力で元立ちに打っていく稽古です。
打ち込み稽古が打突の正確性や足さばき、体さばきを身につけることが目的であるのに対し、掛かり稽古は気力と体力の向上を目的としています。
このように、それぞれの稽古法が持つ目的や効果について、しっかりと知っておくことが大切です。
打ち込み稽古の目的や効果を理解し、より充実した稽古をしてくださいね。