剣道四段。
それは三段まで順調に合格してきた人が最初にぶつかる、段審査の壁といっても過言ではないでしょう。
三段までは合格率が80%ほどありますが、四段からは一気に下がります。
ゆえに四段審査で苦労する人は多くいます。
そこで今回は「剣道四段審査に受からない!?合格率や実技・形・筆記試験のポイント解説」と題して、剣道四段について紹介します。
最後まで読むことで剣道四段に合格するためのポイントや稽古法が分かります。
目次
剣道四段の正式名称
剣道四段の正式名称は、「全日本剣道連盟 剣道四段」です。
剣道の審査会は、六段以上は全日本剣道連盟が主催して執り行われますが、五段以下は都道府県や区市町村が管轄して開催されます。
しかし最終的に段位を授与するのは全日本剣道連盟ですので、得る段位は「全日本剣道連盟 剣道四段」ということになります。
剣道四段の受験資格
剣道四段の受験資格は、三段を取得してから3年以上経過していることです。
全日本剣道連盟が定める「称号・段級位審査規則」によって、「三段受有後3年以上修業した者」決められています。
また、主催する団体に加盟していないと、受審することはできませんので注意しましょう。
たとえば大阪のように、大阪府剣道連盟が二段審査を開催するとすれば、原則として大阪府剣道連盟の登録会員であることが必要です。
よって剣道四段の受験資格を厳密に表現すれば、審査会を主催する連盟の登録会員であり、三段を取得してから3年以上経過していることとなります。
上記を満たしていないと受験できませんので、必ず各都道府県の剣道連盟または関係者に確認するようにしましょう。
剣道四段の日程
剣道四段の日程は、審査を受ける住まいによって異なっています。
日程が地域によって異なる理由は、主催者が異なるからです。
剣道の審査には、「全剣連段位審査」と「地方段位審査」の審査会があります。
全剣連段位審査は六段以上の審査が行われ、主催は全日本剣道連盟が行います。
つまり、六段以上は全国の剣士が同じ場所に集まり審査を受けることになります。
一方で地方段位審査は五段以下の審査が行われ、主催は都道府県や区市町村です。
たとえば東京都では、四段・五段の審査は東京都剣道連盟の主催により開催されます。
東京都に住んでいて四段・五段を受ける人は、同じ日に同じ場所で受審することになります。
しかし三段以下は、23区の人はそれぞれの区に設置された剣道連盟、23区以外の人は西東京剣道連盟が主催する審査を受けることになります。
もう1つの例を紹介すれば、大阪では五段以下はすべて大阪府剣道連盟が主催して行います。
このように、剣道の審査は受審する段位によって開催場所や日程が異なるということが起こります。
よって、剣道四段の日程は受審する地域によって異なるということになります
日程を知りたい人は、各地域の剣道連盟のホームページを閲覧するか、道場や学校の先生に聞いてみると良いでしょう。
剣道四段の合格率
剣道四段の合格率はおおよそ30~45%とされている難しい試験です。
三段までは80%程度の合格率がありますが、四段からはいきなり半分程度となります。
合格率がいきなり低くなる理由としては、剣道では四段から「指導者」として扱われるからです。
それだけ「三段」と「四段」の差は大きいのです。
単純に剣道か「強い」か「弱い」かではなく、「指導者としてふさわしいかどうか」も審査ポイントの1つとして見られます。
実際に四段の審査では、実績がある有名な剣士が不合格になることがあります。
四段の審査に求められるものはなにか?ということを理解して受審するようにしましょう。
剣道四段の登録料
剣道四段の登録料は、受審する地域によって異なります。
たとえば東京都剣道連盟は16,300円、大阪府剣道連盟は13,200円といったような違いがあります。
剣道四段を受審する人は、合格した場合の登録料として13,000円~17,000円ほど費用が必要になると考えておくと良いでしょう。
詳しくはあなたが所属している剣道連盟に問い合わせるようにしてください。
剣道四段の審査(試験)内容
剣道四段は、日程、合格率、登録料など、開催される地域によって異なることは、これまで説明してきたとおりです。
しかし剣道四段の審査内容は、どの都道府県で受けても同じです。
その審査内容とは以下の3つです。
- 実技審査
- 日本剣道形審査
- 筆記(学科)審査
それぞれの審査内容について紹介います。
実技審査の内容
実技審査は、おおよそ1分程度の立ち合いを2回行います。
立ち合いとは、互角稽古のようなものです。
立ち合いは5人1組として進んでいきます。
自分の受審番号が1番の場合、2番と5番の人と立ち合いを行うこととなります。
自分の受審番号が2番の場合は、1番と3番の人と立ち合いを行います。
日本剣道形審査の内容
日本剣道形の審査は、太刀の形7本、小太刀の形3本のすべて行います。
自分が打太刀になるか、仕太刀になるかは当日まで分かりません。
おおよそ3~5組を1つのグループとして審査を行います。
筆記(学科)審査の内容
学科審査は、事前に配布された問題に対する解答を、A4用紙3~5枚に記入して当日提出します。
提出した学科を審査員が読み、合格か不合格かを判定します。
剣道四段の実技審査に合格するための2つのポイント
剣道四段は、剣道の「基本」と「応用」が身についていれば合格することができます。
剣道四段の審査は、全日本剣道連盟が定める「剣道・居合道・杖道称号・段位審査規則・同細則」という決まりによって執り行われます。
その規則の中には、「段位の付与基準」が書かれています。
段位の付与基準によれば、「四段は、剣道の基本と応用を修熟し、技倆優良なる者」とされています。
つまり、基本に加えて応用ができていれば合格できるということです。
では、剣道四段で必要とされる「基本」と「応用」とは何か。
合格するためのポイントとして紹介していきます。
四段の実技審査に合格するためのポイントは次の2つです。
ポイント
- 剣道の4つの基本が身についていること
- 攻めや技の応用ができていること
剣道四段の実技審査のポイントは「基本と応用」です。
先ほど紹介したとおり、剣道の四段審査の付与条件(合格条件)に「剣道の基本と応用を修熟し、技倆優良なる者」と定められているからです。
「基本」と「応用」と一言で言ってもよくわからないと思いますので、1つずつご説明をしていきます。
実技に合格するための4つの基本
四段の実技審査に合格するために必要な基本は次の4つです。
ポイント
- 礼法
- 充実した気勢
- 剣道の足
- 残心を示す
剣道の基本は、「礼法」「充実した気勢」「剣道の足」「残心を示す」という4つです。
この記事を読んでくださっている人は、もう既に三段まで取得されていることでしょう。
剣道の基本は身に付いていると思いますので、ここでは割愛します。
剣道は四段から指導者という扱いになりますから、基本が身に付いていることは当然の条件になります。
実技合格に必要な剣道の応用とは?
四段の実技審査に求められる応用とは、次の2つです。
ポイント
- 技前と呼ばれる「攻め」が出来ているか
- 応じ技や返し技が使えているか
繰り返しになりますが、剣道四段は基本と応用が身に付いていることです。
剣道は「攻めて打つ」と言われます。
攻めは「技前」と呼ばれますね。
三段の審査までは、攻めが身に付いていなくても合格することもできてしまいます。
しかし指導者となる四段からは攻めなくして合格することはできません。
つまり、どんどん打っていくような剣道ではほぼ間違いなく不合格になります。
「攻め」の部分の話をすれば、「気攻め」「足攻め」「竹刀操作の攻め」と攻めには様々な種類があります。
参考
気攻め:大きい気勢で相手を威圧、圧倒すること
足攻め:右足を半歩出したり、両足で1歩前に出たり、「打つぞ」という動きと勢いを見せること
竹刀操作の攻め:相手の竹刀を抑えたり払ったり、剣先を下げたり上げたりといった動き
しかけ技を打つにしても、応じ技や返し技を打つにしても攻めは絶対に必要なことです。
返し技や応じ技の話をすれば、四段ではしかけ技だけではなくて返し胴や面摺り上げ面、相小手面等の高度な技を使うことができることも大切です。
特に大切なことは、「相手に打たせて応じているか」という視点です。
「面を打って来たから返し胴を打った」というのは三段の剣士です。
「返し胴を打つために面を誘って打たせた」というのが四段の剣士です。
これができるか、できないかというのは合格の分かれ目になります。
そして、「返し胴を打つために面を誘って打たせた」というのを可能にするのが「攻め」ということになります。
剣道四段の審査に合格するためには「攻め」と「応じ技や返し技」ができることが大切です。
剣道四段の剣道形審査に合格するための2つのポイント
四段審査の形審査に合格するためのポイントは次の2つです。
ポイント
- 流れを覚えているか
- 剣道形の形を覚えているか
剣道形は、先ほども説明した通り太刀の形7本、小太刀の形3本の計10本の日本剣道形をすべて実施します。
基本的には、四段の剣道形審査は流れを間違えずに最後までやりきれば合格できます。
しっかりと流れを把握しておきましょう。
もう1つ大切なのは、剣道形の形を覚えておくことですね。
どちらの足を出すとか、どれくらい振りかぶるとか、そういった細かい動きのところを間違えずにやるようにしましょう。
そして、もし間違えてしまったときは挙手をしてやり直しをしましょう。
四段審査では1回くらいなら間違えても大丈夫でしょう。
実際、間違えても申告をして合格となっている方はたくさんいます。
ただし、2回以上は不合格となると思っておきましょう。
ここで注意していただきたいことが1つあります。
注意ポイント
相手が間違えているのに相手が申告しない場合は、こちらが申告する
これはすごく大切です。
相手が間違えた場合、相手が申告するのが基本です。
しかし、相手が間違いに気がついていない場合や舞い上がってしまって申告できないような状態になることがあります。
その場合は、自分が間違えていなくても申告するようにしてください。
ここで申告しなかった場合、自分も不合格となります。
理由は、「2人とも分かっていない」と判断されるからです。
相手が間違えたとしても、必ず申告するようにしましょう。
剣道四段の学科(筆記)審査に合格するための3つのポイント
四段審査の学科審査に合格するためのポイントは次の3つです。
ポイント
- インターネットや書物を丸写ししない
- 自分の意見や経験を書く
- 8割以上書く
四段の学科試験のポイントはこの3つです。
学科は事前に課題が分かっていて自宅で書いてくるものです。
当日提出して合否が判定されます。 それでは1つずつ見ていきましょう。
インターネットや書物を丸写ししない
学科に合格するためにはインターネットや書物を丸写ししないということです。
インターネットや書物を丸写しして書く人がいますが、これは不合格となります。
これだけ情報が多い時代なので、バレないだろうと思うかもしれませんが、文章がぎこちなくなるのでバレます。
もちろん、引用はしても問題ありません。
全部丸写しがよくないということです。
四段審査の学科になると内容が結構難しくなるため、インターネットで調べたり本で調べたりしないと書くことができないと思います。
それでも丸写しはせず、引用程度にとどめましょう。
私が実際に使用した本も紹介しておきます。
剣道を知る事典は剣道の歴史から細かく書かれています。
昇段審査の学科試験の参考書として手元に置いておくと、学科試験を簡単に終わらせることができますよ。
自分の意見や経験を書く
学科で何よりも大切なことは自分の意見を書くということです。
引用した内容に関して、自分はどう思うのか、どのような体験をしたのかを書けば大丈夫です。
先ほども言ったように、引用することが悪いのではなく引用だけで全部を埋めることが悪いことになります。
引用+自分の意見というイメージです。
8割以上書く
最後に、学科は8割以上書くようにしましょう。
400字書けるA4サイズの用紙3〜5枚を提出となっているため、最高で2000文字ということです。
つまり、2000文字の8割なので最低でも1600文字は書くようにしましょう。
引用+自分の意見で1600文字以上で書けば合格できることでしょう。
剣道の四段審査に合格するための稽古法
では、剣道四段の審査に合格するためには、どのような稽古をすれば良いのでしょうか。
四段審査に合格するために稽古で気をつけることは次の3つです。
ポイント
- 色々な攻めを試してみる
- 色々な返し技や応じ技を練習する
- 技の練習では攻めてから打たせる
剣道の四段審査に合格したいのであればこの3つは徹底的に稽古した方が良いでしょう。
色々な攻めを試してみる
日頃の稽古の中で色々な攻めを試してみることが大切です。
攻めには気攻めや足攻め、竹刀操作の攻めと色々あります。
日々の稽古の中で、自分がどのような動きをしたら相手がどのように反応をするのかということを研究しなくてはいけません。
構えた間合いから、右足を半歩前に出したら相手はどう反応するのか。
両足で一歩前に出たらどのように反応するのか。
相手によったり、間合いやタイミングでも相手の反応は変わります。
人には癖があるので人によって反応しやすい状況があります。
色々な攻めを試すことで、「この人は右足を半歩出すと剣先が上がる人だな」というように相手の癖を知ることが攻めにおいて大切なことです。
攻めがよく分からないという人は、「自分が何かをしたことで相手が動いたら、それは攻めが効いているということ」という感覚で始めると良いでしょう。
稽古の中で、色々な攻めを実践して攻める癖をつけるようにしましょう。
色々な返し技や応じ技を練習する
四段の審査に合格するためには日々の稽古で色々な返し技や応じ技を練習するようにしましょう。
面の応じ技1つ、小手の返し技1つずつは打てるようにしておきたいですね。
色々な技を持っていると有利ですが、やはり大切なのは「得意技」を作ることです。
審査本番では、その得意技を繰り出すようにしましょう。
今現在得意技がある人は、それを伸ばすようにしてください。
まだ得意技がないという方は、色々な技を練習してみて自分に合ってそうな技を選ぶようにしましょう。
技の練習では攻めてから打たせる
四段の審査で合格するためには技の練習をするときに自分が攻めたことによって相手が打ってくるようにしましょう。
技の練習をするとき、ついつい相手が打ってきたことに対して技を出してませんか?
四段に求められるのは相手に打たせて返すことです。
技の練習をするときは、相手が面を打ってくるとか、小手を打ってくるというのは分かっていますよね。
しかし審査当日は、相手がいつ何を打ってくるのか分かりません。
自分の動きによって、相手が打ってくるように仕向けることが大切です。
面に対する技の練習であれば、自分が打ってきてほしいタイミングで右足を半歩前に出すなど、打たせる工夫をします。
攻めについては本当に難しくて悩むと思います。
色々な先生に聞くのも良いですし、動画や本で学ぶのも良いですね。
攻めについてのDVDや本も出ているので、見たり読んだりすることで紐解けるかもしれません。
「色々聞いてみた、やってみたけど分からない!」なんて人はDVDや本で研究しても良いでしょう。
四段に合格したいのであれば「攻め」です。
攻めてから打たせることができれば四段に合格することで苦労することはないと言っても過言ではないでしょう。
まとめ
今回は「剣道四段審査に受からない!?合格率や実技・形・筆記試験のポイント解説」と題して、剣道四段について紹介しました。
剣道は四段から「指導者」として扱われるため、合格率は30~40%と低く難しい審査です。
四段審査には、
- 実技審査
- 日本剣道形審査
- 筆記(学科)審査
の3つがあります。
実技審査に合格するためには、
- 剣道の基本が当然のようにできていること
- 攻めや技の応用ができていること
が大切です。
日本剣道形審査に合格するためには、
- 流れを覚えていること
- 剣道形の形を覚えていること
が大切です。
筆記(学科)審査に合格するためには、
- インターネットや書物を丸写ししない
- 自分の意見や経験を書く
- 8割以上書く
ということが大切です。
四段審査に合格するために、日々の稽古では、
- 色々な攻めを試してみる
- 色々な返し技や応じ技を練習する
- 技の練習では攻めてから打たせる
ということを意識すると良いでしょう。
剣道の四段審査の日程や登録料に関しては、あなたが受審する都道府県によって異なります。
詳細については、各都道府県の剣道連盟または関係者に問い合わせるようにしてください。