剣道が日本発祥の武道であることは、すでに知っていることだと思います。そして日本は、剣道の世界選手権において第1回大会から数多く優勝しています。
そんな剣道がオリンピック競技になれば、日本が金メダルを獲得することはほぼ間違いないでしょう。
しかしながら、剣道はオリンピック競技になっていません。剣道がオリンピックの競技にならないことに疑問を持っている人もいることでしょう。
一体なぜ、剣道はオリンピックの競技にならないのでしょうか。
今回は「なぜ剣道はオリンピック競技にならないのか|日本は賛成?反対?」と題して、剣道がオリンピック競技にならない理由を紹介します。
この記事を最後まで読むことで、剣道がオリンピック競技にならない理由はもちろん、日本が賛成か反対か、そして世界大会でも日本と優勝争いをする韓国はどのように思っているのかということが分かります。
ぜひ最後まで読んでくださいね。
目次
剣道がオリンピック競技にならない理由は日本が反対しているから
剣道がオリンピック競技にならない理由は、全日本剣道連盟が反対しているからです。
全日本剣道連盟が剣道のオリンピック競技化に反対している理由は
・武道ではなくなってしまう
ということです。
オリンピックの競技になるということは、「勝つことがすべてになる」と言っても過言ではないでしょう。
もともと剣道とは、「剣道は剣の理法の修練により人間形成の道である」という理念のもとに行われている武道です。
オリンピックの種目になることで競技性が高くなると、武道で重要視される相手を尊重し礼節を重んじる武道の文化がなくなり、いよいよ勝利至上主義のスポーツになってしまうのではないでしょうか。
とはいえ、剣道をオリンピックの競技にすることで得られるメリットもあります。剣道がオリンピック競技になるメリットには、
・剣道人口が増える
・剣道の経済が豊かになる
ということが挙げられます。
オリンピック競技になることでより多くの人に剣道という武道が知られることになり、剣道を始める人が増えるきっかけになります。
剣道の競技人口が増えれば、会費や昇段審査費用など、様々な収入が増えるので剣道界の経済がより豊かになります。
さらに野球やサッカーに、ミズノ・ナイキ・アディダスのようなスポンサーメーカーがあるように、剣道にも様々なスポンサーがつくことによる増収も考えられるでしょう。
このように、剣道がオリンピック競技になることのメリットもありますが、現在ではデメリットの方が多くあるため、剣道がオリンピック競技になることを全日本剣道連盟は反対しているということです。
しかしこれは、あくまで剣道が日本の国技であり、実力がどの国よりも勝っているから反対意見が通っているだけだと思っています。
これから先、日本が剣道で他の国に勝てなくなってしまったとき、国際剣道連盟を中心にオリンピック競技になる可能性もあるのかもしれません。
韓国は剣道をオリンピック競技にしたいと考えている
お隣の国である韓国は、剣道の世界選手権で日本に次いで準優勝するほどの強豪国です。
日本に勝利し優勝したこともある、実力ある国です。その韓国では、剣道をオリンピック競技にしようとする動きがあるようです。
世界の剣道の競技人口は、約220万人とされています。そのうち、日本が約160万人、韓国が約50万人、その他の国が残りの10万人であると言われています。
世界の剣道人口の半数以上が日本人ではありますが、残りの数のほとんどが韓国人ということです。
つまり韓国は、実力もあり競技人口も多い、剣道が盛んな国ということになります。
そのような国が剣道をオリンピック競技にしたいと考えるのは納得いくのではないでしょうか。
韓国には「コムド」と呼ばれる韓国武道があります。漢字表記は「剣道」であり、朝鮮語で発音したものが「コムド」です。
しかしこの「コムド」は、剣道であるにも関わらず、用語や礼法、防具等は日本剣道とは異なっています。
たとえば、言葉はすべて韓国語を使用します。さらに蹲踞はなく、袴も腰板が入っていないマジックテープ式のものです。
このように、「コムド」は漢字表記が「剣道」でありながら、剣道とは異なる性質をもった武道であることが分かります。
韓国がオリンピック競技にしたいのは「剣道」ではなく、こちらの「コムド」のようです。
「コムド」をオリンピック競技にすることで、「剣道は韓国のものだ」ということを主張していく可能性もあるのかもしれませんね。
剣道はまだオリンピック競技の基準に満たない
オリンピック競技になるには、選定基準をクリアしなくてはいけません。オリンピック競技の選定基準は
- 夏季:男性は75か国4大陸以上、女性は40か国3大陸以上の広いエリアで実施されていること
- 冬季:25か国3大陸以上の広いエリアで実施されていること
となっています。
国際剣道連盟に加盟している国は、約40か国以上とされています。
つまり、剣道は夏季オリンピックの選定基準を満たしていないことになり、オリンピック競技になることはできないのが現状です。
冬季オリンピックの選定基準は満たしていますが、冬は雪や氷を活かした競技が多くあります。その中に剣道が入る……というのは考えにくいのではないでしょうか。
よって、焦らずとも今のところ剣道がオリンピック競技になることはないのではないかと思っています。
もし剣道がオリンピック競技になったらどうなるか
それでももし、剣道がオリンピック競技になった場合には何が起こるでしょうか。
ルール改正は必ず行われるでしょう。
剣道は常々、どちらが勝ったか分かりにくいという特性が叫ばれています。オリンピック競技になる以上、観ている人が分かりやすい判定が必要とされます。
そしてオリンピック競技は勝利至上主義のような性質があるため、ビデオ判定が導入され、チャレンジ制度が採用されることでしょう。
剣道では、一本になった打突もスロー再生したら実は当たっていなかった、ということが多々あります。
ビデオ判定が導入されれば、判定がコロコロ覆るような現象も起こることでしょう。そして柔道の勝敗の決め方が変更されたように、剣道も変化していくことでしょう。
このように剣道がオリンピック競技になった場合には、「剣道のような競技」になる可能性を否定することはできないのではないでしょうか。
まとめ
今回は「なぜ剣道はオリンピック競技にならないのか|日本は賛成?反対?」と題して、剣道がオリンピック競技にならない理由を紹介してきました。
剣道がオリンピック競技にならない大きな理由は、発祥の地である日本が反対しているからでした。
日本が賛成したとしても、オリンピック競技の選定条件である「男性は75か国4大陸以上、女性は40か国3大陸以上の広いエリアで実施されていること」を満たせていないため、現状では難しいのではないでしょうか。
もし剣道がオリンピック競技になったときには、剣道のルールはそのままに、ビデオ判定などは導入せずに実施してほしいものです。