剣道には欠かせない掛け声。
剣道について良く知らない人でも、「剣道って大きな声だすよね」などど話し、声を出すことを知っている人は多くいます。
剣道をしている人であれば、声を出すことは当たり前だと思っていることでしょう。しかし、剣道の掛け声の意味をしっかりと理解できている人はどれくらいいるでしょうか。
この記事を読みに来た人の中にも、
- 剣道の掛け声にはどのような意味・効果があるのか知りたい
- 剣道の掛け声にはどのような種類があるか知りたい
と思っている人はいるのではないでしょうか。
もしかすると昇段審査の筆記試験の問題として出題され、
- 剣道の掛け声について説明できるようになりたい
と感じている人もいるかもしれないですね。
そこで今回は「剣道の掛け声には意味があった!種類や効果を知れば説明できる!」と題して、剣道の掛け声について紹介します。
最後まで読むことで、剣道の掛け声の意味や効果、どのような種類があるのかを知り、昇段審査の筆記試験でも説明できるようになるでしょう。
ぜひ最後まで読んでくださいね。
剣道の掛け声は「気力」が表に出てきたもの
気力は体の中に湧き起こるものであり、目に見えたり耳で聞こえたりするものではありません。
剣道の掛け声は、気力を耳で聞こえるように声にして表に出したものです。
全日本剣道連盟『剣道指導要領』の中でも、「掛け声とは、心に油断がなく、気力が充実した状態が、自然に声となって外にあらわれたもの」としています。気力を充実させて相手に向かっていこうとすれば、自然と大きな掛け声が出るということです。
大きな声が自然と出ていれば、あなたの気力は充実していると言えるでしょう。しかし小さな声であれば、気力は充分に充実した状態とは言えません。
稽古の中で大きな声を出すように指導するのは、「大きな声を出しなさい」と言っているわけではなく、「気力を充実させなさい」と言っていると言うことができるのはないでしょうか。
剣道の掛け声は、気力が声という形になり表に出てきたものです。気力を充実させ、大きな掛け声を出せるようにしておきましょう。
剣道の掛け声の意味・効果は7つある
さて、掛け声が気力を表に出したものだということは分かりましたが、気力を表に出すことにはどのような意味・効果があるのでしょうか。
なぜ気力を表に出さなくてはいけないのでしょうか。
剣道の掛け声には、次の7つの意味・効果があります。
- 自分の気力を充実させる
- 集中力を高め自分を鼓舞する
- 相手を威圧する
- 相手の気力を奪う
- 相手を動揺させる
- 相手を誘う
- 打突の強度と正確性を高める
気力を掛け声として表に出すことには、実はこれだけの目的があります。
大きな声を出すことで、まずは自分の気力を充実させて集中力が高まります。
掛け声は自分だけでなく相手にも影響を与えます。
大きな掛け声は、相手を威圧し、相手の気力を奪い、動揺させます。
動揺した相手は、こちらに誘われるように打突してきたり隙ができたりします。
気力を充実させて大きな掛け声とともに放った打突は、強く正確な打突になります。
このように、気力を充実させて掛け声を出すということは、剣道をする上で欠かせない意味と効果をもっています。
剣道の掛け声の種類は6種類
それでは、剣道は大きな声を出せばどのような掛け声でも良いのでしょうか。
剣道の掛け声には、日本剣道形における2種類と、稽古や試合で用いる4種類の、計6種類があります。
日本剣道形の2種類の発声には、
- 打太刀による「ヤー」という発声
- 仕太刀による「トー」という発声
があります。
これは、全日本剣道連盟が出している『日本剣道形解説書』にも、「打太刀『ヤー』、仕太刀『トー』の二声とする」と明記されています。
つまり、日本剣道形には「ヤー」「トー」以外の声は存在しないことになります。
一方、稽古や試合で用いる4種類の発声には、
- メン
- コテ
- ドウ
- ツキ
があります。
こちらも全日本剣道連盟が出している『剣道指導要領』の中で、「打突と同時に、打突部位を、メン・コテ・ドウ・ツキと鋭い気勢で呼称する」と明記されています。
このように、剣道の掛け声は全部で6種類あることになります。
剣道における究極の掛け声は「無声」
剣道の『剣道指導要領』には、「打突と同時に、打突部位を、メン・コテ・ドウ・ツキと鋭い気勢で呼称する」と明記されていることを紹介しましたが、『剣道試合・審判規則・同細則』という試合上のルールには、掛け声についての決まりは書かれていないのです。
つまり、ルール上では掛け声を出す必要はないということです。
しかし、「声を出さないと1本にならない」ということを聞いたことがある人もいることでしょう。
剣道の試合には、『剣道試合・審判規則・同細則』以外にも、『剣道試合・審判・運営要領の手引き』と呼ばれるものが存在します。この『剣道試合・審判・運営要領の手引き』の中には、有効打突の理合の要件として「気勢(発声)」と書かれています。
つまり、審判が1本だと判断する要件の1つに「声を出すこと」が入っているということです。
ではなぜ、ルール上には記載されていないのでしょうか。
それは、剣道には「極は無声に至る」という教えがあり、掛け声は四段以上の剣士の指導項目に含まれていないからです。
つまり、剣道を極めると、声を出さずとも集中して気力を充実させたり、相手を威圧したりすることができるようになっていくということなのでしょう。
剣道の掛け声の説明方法
最後に、剣道の掛け声の説明方法を紹介します。
昇段審査を受けるときの筆記試験では、「剣道の掛け声について説明しなさい」という問題が出題されることがあります。
どのように答えたら良いか分からないという人もいることでしょう。そこでここでは、解答方法の1つの例を紹介します。
あくまでも1つの例なので参考程度で活用していただき、丸写しは絶対にしないでください。万が一、審査で発覚した場合は不合格になります。
昇段審査の筆記試験で掛け声について答える場合には、次のポイントを押さえるようにしましょう。
- 掛け声とは何かを説明する
- 掛け声の目的を説明する
- 掛け声の種類を説明する
- 掛け声がルールにはないことを説明する
- 掛け声が有効打突の要件であることを説明する
- 「極は無声に至る」という教えを説明する
以上6つのポイントを押さえることで説明ができます。
お気づきの人もいるかもしれませんが、この記事も今紹介した6つのポイントを押さえて説明しています。
それでは、解答例を紹介します。先ほどもお伝えしましたが、絶対に丸写しはやめましょう。
解答例
剣道の掛け声とは、気力を声にして表に出したものである。(掛け声とは何か)
掛け声を出す目的は、「自分の気力を充実させる」「集中力を高め自分を鼓舞する」「相手を威圧する」「相手の気力を奪う」「相手を動揺させる」「相手を誘う」「打突の強度と正確性を高める」ということである。(掛け声の目的)
掛け声には、日本剣道形における打太刀の「ヤー」と仕太刀の「トー」、稽古や試合で用いる「メン」「コテ」「ドウ」「ツキ」の6種類がある。(掛け声の種類)
『剣道試合・審判規則・同細則』という試合上のルールには、掛け声についての決まりは書かれていないが、『剣道試合・審判・運営要領の手引き』の中には、有効打突の理合の要件として「気勢(発声)」が書かれている。(ルールになく、有効打突の要件にあることの説明)
剣道には「極は無声に至る」という教えがあり、掛け声は四段以上の指導項目には含まれていない。(無声に至るの教えの説明)
まとめ
今回は「剣道の掛け声には意味があった!種類や効果を知れば説明できる!」と題して、剣道の掛け声について紹介してきました。
剣道の掛け声は気力を表現したものであり、自分の集中力を高めるだけでなく相手を威圧したり打突の強度と正確性を高めたりする効果があります。
掛け声には、日本剣道形では「ヤー」「トー」の2種類、稽古や試合では「メン」「コテ」「ドウ」「ツキ」の4種類があります。
声を出したり打突部位を呼称したりすることは試合上のルールでは定められていませんが、有効打突の要件になっているため、試合において打突部位の呼称は必須であるといえます。
とはいえ、剣道には「極は無声に至る」という教えがあり、四段以上の指導項目に掛け声は含まれていません。
以上が掛け声について今回紹介した内容です。
昇段審査の筆記試験で出題された場合は、この記事で紹介した解答例も参考にしながら答えてみてくださいね。